「ゼロ秒思考」著者赤羽雄二氏に聞く

社会で求められる

リーダーシップとは 

赤羽雄二(あかばゆうじ)

マッキンゼーにて、マッキンゼーソウルオフィスをゼロから立ち上げ、LGグループの世界的躍進を支援。現在は、ブレークスルーパートナーズ株式会社を共同創業し、「日本発の世界的ベンチャー」を1社でも多く生み出すことを使命として多方面で活躍中。そして、累計38万部を突破した 「ゼロ秒思考」の著者である赤羽雄二氏に組織での思考の深め方について訊いてみた。



主な経歴

1978年 

東京大学工学部産業機械工学科卒業 

コマツ(㈱小松製作所)入社

1984年 

米スタンフォード大学大学院修士

1985年 

米スタンフォード大学大学院 

Degree of Engineer

1986年 

マッキンゼー&カンパニー入社

2000年 

Techfarm Asia Ventures入社

2002年 

ブレークスルーパートナーズ共同創業


主な著書

『ゼロ秒思考』

『速さは全てを解決する』

『自己満足ではない「徹底的に聞く」技術』

『変化できる人』等25  

目次

赤羽氏とKINGの関係

ーー赤羽さんはKINGとはどのような関わりがありますか?

もともと2000年以降、日本でベンチャー関係のビジネスプランコンテストには頻繁に出て、基調講演、ビジコンの企画、運営、審査員、審査員へのアドバイス、メンターなど様々なことに関わりました。KINGでは2011年に基調講演をしています。

「ゼロ秒思考」の起源

ーー赤羽さんといえばゼロ秒思考が有名ですが、ゼロ秒思考はどのように生まれたのですか?

マッキンゼーに入った時、もともとコマツのエンジニアでスタンフォード大学で機械工学の修士をとっていたこともあり、ビジネスマネジメントの経験はほとんどない状態でした。

どのように報告書を作るか、どのように分析をするのか、クライアントチームのマネジメントのやり方など、学ばなくてはならないことがあまりに膨大で、書き留めないと覚えていられませんでした。

試行錯誤した結果、A4の紙に横置きにし、一気に書くというやり方に辿り着きました。それがゼロ秒思考の原点です。 

 

組織に求められるリーダー像

ーーマッキンゼーではチームとして動かれたことも多いかと思います。個人としてではなくチーム全体として思考を深めて結果を出していく場において、求められるリーダーの姿とはどのような姿なのでしょうか。


まず、リーダーは全員、ビジョンを持たなくてはいけません。会社全体のことであっても、何人かをリードするためであっても、ビジョンを持って動かすことが不可欠だからです。


ここで、ラグビー日本代表の監督が、世界で一番強い南アフリカとの試合において、日本を勝利に導いたエピソードをご紹介します。


ラグビーワールドカップにおいて、エド・ジョーンズ監督は「日本は南アに勝つぞ」と言い出しました。

それを聞いたとき、選手たちは絶対に無理だと言ったと思いますが、監督は次のように言って鼓舞したそうです。


「南アはスクラムが非常に腰が高いから、下から行けばどんなにでかくて重い人たちにも勝てるぞ」

「南アは体がデカくて重いから、思っているほど走れない。だから我々は絶対に走り勝つぞ」


こうして監督が選手たちに南アフリカに勝つための方針を示したことで、日本は南アフリカに見事勝利しました。


これこそリーダーです。チャレンジングなビジョンの下で、それの達成方針を示し、それを具体的なアクションに落とし、それを個々のタスクに落とし、それのKPIを確認しながら、目的に向かってリードしていくのがリーダーのあるべき姿です。



リーダーシップの習得方法

ーーでは、そのようなリーダーシップを身に付ける練習はどのような時にできるのでしょう?


KINGのビジネスコンテストに参加してチャレンジすればよいと思います。KING外でも、学内の文化祭などできる時はいくらでもあります。KINGに出る価値としては、学生の間に勉強だけでなくビジネスを考える経験が得られることです。


また、チームでビジネスプランを立てる際に、リーダーシップを発揮する機会が得られたり、社会人との接点ができたりと、普通の学生生活を送るより何倍も世界が広がります。学生のうちでは経験のしない社会に出た後の世界について触れ、非常に短期間の間に頭を使い、それをプランという形にする。


しかもそれを仲間と行い、社会人にアドバイスもしてもらえる。このような体験をすることで、1人で勉強したり研究したりするよりも格段に質の高いものが得られるため、全学生にこのようなビジネスプランコンテストへの参加をおすすめしたいです。

 

 研究や学問に励む学生へ

ーー 学生の中には研究や学問を頑張りたいという人も多いですが、このことに関してはどう思われますか?


KINGというのは一部の変わった趣味の学生がやるものではないです。できるだけ多くの学生が参加してこのような経験を積んでいくとよいと思います。そしてそのことを皆さんには伝えていただきたいです。


東大だろうが、早稲田だろうが、関係ありません。気づいていない人がほとんどなのですが、これは誰でもできるものです。私はそのためにいくらでも支援しましょう。

赤羽氏がKINGに求めること

ーー 力強いお言葉です。赤羽さんのご期待に応えられるよう、今後の活動も頑張っていきます。最後に赤羽さんがKINGに期待することはどのようなことですか?

「自分が社会や世界に貢献できる人材になるんだ」という学生を育てていってほしいです。

そして、「自分はそういう人にならなくていいですよ」という学生にKINGを通じて、自分が社会を動かす楽しさを感じてほしいです。


そのためには、KINGのビジネスコンテスト一回で100人程度を集めてやっているだけでは小さすぎます。KINGを通じて関東だけでなく、日本全体に「自分が社会や世界に貢献できる人材になるんだ」という学生を増やすことで、日本の国自体を動かしていってほしいです。


ーーありがとうございました。